2015年1月1日木曜日

双極性障害リチウム退薬その後の経過(1)

2015年、あけまして、おめでとうございます。

前のブログで、リチウム漸減法により、双極性障害再発予防としてのリチウムの摂取を減らし、最終的にゼロに持っていこうとしているという話を書いたので、その続きとして、今どうなったか書いておきたい。

2015年1月1日現在、リチウムを中止してすでに半年が経とうとしている。結果的には、少なくとも今のところは、何ら悪影響や再発の兆候は見られず、成功裏にリチウムを中止できているといってよいだろう。むしろ、昔のレベルの頭の回転を取り戻すことができたような気がする。これが、リチウムを止めたことと関連しているかどうかは分からないが、具体的には、特許となりうる発明を思いつき、発明申請書類を提出するといったところまで進んだ案件があるし、そうでないものでも、「風吹けば桶屋が儲かる」的な、長い論理の帰結として発生する問題の根本原因を特定する仮説を思いつき、問題解決にいたったケースもある。

これは、いい意味での「軽躁」状態と言えるのかもしれないが、「軽躁」と病的な「躁」の境界を本人が完全に自覚するのは難しいであろう。しかし、経験と読書により病気についての知識を得た今となっては、以前に比べて、はるかに、自分を第三者的な立場から客観視して「躁」に行ってしまっていないかを観察することがうまくなっている気がする。これは、病気に関する教育が最大かつ最高の治療であることを裏付ける一例となっているのではあるまいか。

自己チェックとして欠かせないことにひとつは、お金を使いすぎていないかということ。使いすぎイコール躁とはいえないので、衝動的な欲求によってポンとつかうことを止め、必ず、再考してみるという習慣をつければさほど怖くないことがわかった。もう一つは、とっさに怒りの感情が沸いてきたときに、この感情が、情動からくる反応的なものかを大脳皮質のほうで再考し、怒りを外に表すことによる得失の期待値が負であるときには、建設的な提案という形に変えて笑みを湛えながら進言するという技を身につけたので、怒るということ自体がなくなってしまった。まぁ、子供を叱るために怒ったふりをすることはありますが(笑)。

というわけで、リチウム断薬はいまのところは成功を収めているわけで、かつ、双極性障害の経験自体は、精神性を高める上でも、一歩高い見地から物事を見ることができるようになったというご利益があったような気がする。

自分の経験がすべての双極性障害を患った患者さんに当てはまるものでもないだろうが、少なくとも薬物誘起型の「えせ」双極性障害患者や、いわゆる双極性III型と呼ばれているタイプの患者さんには、結構参考になるのでは無いかという気がしている。

「まだ、半年ではないか、お前の自殺確率は確実に増えている(笑)」というしつこい方々のために、今後もときどき、報告をさせていただきたいと思います。

追記:
リチウム投与が脳の血流にどう影響を及ぼすかを直接的にfMRIで画像化して見ようという試みがアメリカで進んでいる。(参考サイト